オーダースーツをつくる際の有料オプションとして定番の仕様が、本切羽です。
既製品でも高級スーツになると必ずと言っていいほど本切羽と仕様になっていますが、果たしてこれはお金をかけてまで付けるべきオプションなのか。あるいは、実は“ダサい”オプションなんてことはない……?なんてお悩みの方へ、一つの解をお伝えしていきます。
本切羽(袖口本開き)とは
念のため、そもそも「本切羽」とはというお話しから。
「袖口本開き」とも言われたりしますが、
こんな感じで、袖口のボタンが開くようになっているつくりのことを言います。
一方で、ボタンは単なる飾りで、実際に開けないようになっているのが「開き見せ」と言われる型で、こんな感じです。
ぱっと見では、違いはわかりませんね。
本切羽という仕様は、袖が汚れないようにまくれるような仕様にしたことが起源とされていますが、今では、そうした機能面の向上というよりも、単に高級に見せるオプションの一つという意味合いが強くなっています。
本切羽のメリット・デメリット
単純にかっこいい
本切羽のメリットとしてまず挙げられるのは、「単純にかっこいい!」ということでしょう。
上の写真を見比べてみると、やはり開く袖口の方が本物感があって、逆に「開き見せ」の方に少し安っぽさを感じてこないでしょうか。正直、両者の違いはぱっと見ではわかるようなものではないものの、やはり比べてみると違いを感じてくるものです。やはり少しボタンを開けて見せたいところですが、そもそもこの“開く”という事実自体がかっこいいんですよね笑
着こなしの幅が広がる
上記に関連しますが、やはりボタンの開け閉めによって、袖口に変化がつけられるというのも、メリットといえるでしょう。
ボタンが袖口に4つあるスーツであれば、左右合わせて8つ。極端な話、この8つのボタンをどう空けるか、閉めるかという、2の8乗で256通り(計算合ってますかね?笑)の組み合わせがあるわけです。
まあ実際は、袖口の先端側からいくつ開けるかというのが現実的なわけですが、それにしても、ボタンの開け閉めだけでも袖口の雰囲気はけっこう変わるもの。そして意外に袖口というのは、特にテーブル越しに向かい合うシーンなど、目立つ場所なんですよね。
ですから、こうして着こなしの幅が広がるという点も、大きな魅力と言えるのではないでしょうか。
スーツにこだわっていることが伝わる
さらに付け加えると、こうした高級オプションをつけているという事実自体が、「スーツにこだわっている」という印象に繋がるということです。
スーツに無頓着な場合、オーダースーツでもわざわざこのような仕様はつけないでしょうし、ましてオーダーではなく既製品で済ませている人がほとんどでしょう。
そんな中で袖口にしっかりと高級オプションを加えていることで、そのこだわりが“わかる人”には伝わるわけです。
逆に言うと、高級な生地のスーツなのに、本切羽がないと、どこかチグハグ感が出てしまうので、その点は注意が必要です。
せっかく生地を高級にするなら、こうした(ある程度)目立つ部分の仕様にもこだわっていきたいところです。
ただ、誰しもが必ず本切羽をつけるべきとまでは言えません。それについてはこちらの記事も参考にしてみてください。
袖丈の調整はしづらい
唯一のデメリットといえるのは、袖丈の調整がしづらいという点です。
開き見せの場合はこれが簡単にできるのですが、本切羽は完全に開く仕様になっているので、ここの調整が難しく、本当に修正をかけようとすると、けっこうな料金がかかってしまうことがほとんどです。
ただ、ジャケットのウエストや、パンツの丈などと違い、袖口の長さというものは、着方や体型によって変わるような部分ではありませんから、それほど気にするところではないかもしれませんね。
本切羽はダサいのか?
こうして本切羽という仕様について考えていくと、まれに挙がる「本切羽はダサいのか」という疑問については、「ダサいなんてことは一切なく、ただカッコよさが増すだけ」としか言いようがないというのが結論になります。
ただし、着こなし方によっては、ダサいと見られる可能性はあるかもしれません。
それこそ、両腕のすべてのボタンを開けていたら、「なんだこれ」と思われるでしょうけど、さすがにそんな着方をする人はいないでしょう。
開けたとしてもせいぜい片側につき1、2個ずつくらいでしょうから、ふつうに着ている限りはダサいなんてことはないと思って良いかと思います。
ダサいと言われない「本切羽の着こなし」
では実際に本切羽はどう着こなせばいいのか。
ある程度は目立たせたい、けど目立ちすぎるのもダサいな……なんてお考えの方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
初心者が「本切羽」を着こなすための提案〈ダサいと言われないために〉
コメント