洋服でたまに聞く「アジャスター」という仕様。
これは一体どんな仕様なのか。そしてこれが洋服においてどのような役割を果たしているのか。
今回はそんな疑問についてお答えしていきます。
洋服のアジャスターとは
アジャスターとは、「adjust(調整する)」という動詞に由来する「adjuster(調節するもの)」という意味の言葉です。
ですから、洋服におけるアジャスターとは、一般的には「パンツの調整機能」のことを指します。
ウエスト部分の両サイド、または左右どちらかについていることが多く、つまりはウエストを調整するための仕様ということですね。
言うまでもなく、裾の長さや、パンツの形状などはもともとの作りから「調整」することはできませんから、必然的にアジャスター機能というのは、「ウエストの調整」ということになってくるわけです。
アジャスター付きのパンツ
例えば、礼服のパンツには、このようなアジャスターがついていることが多いでしょうか。ベルトでの調整もできる上、アジャスターによる調整もできるようになっています。
見えづらいかもしれませんが、金具が調整弁の機能を果たしています。
こちらの礼服がそうであるように、アジャスターとは、基本的には、こうした機能的な役割を持っているものです。
スーツの場合の「アジャスター」
ですが、特にスーツの世界では、もはや一つの装飾品としての位置づけになりつつあります。
いわゆる「サイドアジャスター」と呼ばれるもので、実物はこんな感じ。
ベルトをするのが一般的である中で、ベルトループがついていない代わりに、両サイドにこのような「尾錠」がついていることで、ウエストを絞めることができるようになっているというわけです。
ですが、先ほど申し上げた通り、スーツにおいてベルトをするのは当たり前のことなので、わざわざ「サイドアジャスター」の仕様にする機能的な必要はなく、既製品のスーツには基本的にはつけられません。
ただ、ここで申し上げておきたいのは、機能的には不要だからこそ、そして一般的には搭載されない仕様だからこそ、おしゃれな装飾品としての価値が増しているということです。
やはり、「人とはどこか違う」という要素にこそ人は「おしゃれ」を感じるものであるわけですが、このサイドアジャスターの仕様は、それを手っ取り早く取り入れられるものなのです。
着用写真
実際、改めてサイドアジャスター仕様のパンツをご覧になってみて、どうでしょうか。ふつうとは違うからこそ、独特の風合いがあり、かっこいいと感じませんか?
このあたりはそれぞれの主観にもよるところだとは思いますが、例えばYouTubeなどで挙げられているスーツ系の動画でサイドアジャスター仕様のパンツが登場すると、コメント欄には「サイドアジャスターかっこいい」「サイドアジャスターおしゃれですね」という投稿が多く見受けられます。
感覚的に、人はサイドアジャスターを「おしゃれ」「かっこいい」と感じるということの表れといえるでしょう。
私のように、おしゃれに関するセンスを持ち合わせていないという方でも、「とりあえずサイドアジャスターをつけておけばおしゃれな雰囲気が出せる」という、便利なアイテムなのです(もちろん、手持ちのスーツをすべてサイドアジャスター仕様にすればいいという話ではありませんが…)。
サイドアジャスター仕様のスーツは、既製品にはめったにありません。ご希望の場合は、これを機にオーダースーツにトライしてみるというのも、一つの選択肢になるのではないでしょうか。
※関連記事
既製服で不便のない人にこそおススメしたいオーダースーツの魅力4点
コメント