スーツの宣伝文句としてよく使われるのが、「これ百貨店だと○○円しますよ!」「百貨店の半額くらいじゃないですか」といううたい文句。
そのせいもあってか、あるいはそもそもの印象か、百貨店のスーツって、どこか高いイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
百貨店のスーツは本当に高いのか
かくいう私もその一人です。
7.8年前に銀座の松屋で購入したスーツ、そこそこの値段がしたのですが、今見るとウール100%ではありつつも、よくわからないブランド名で、ステッチも本切羽もなく、おそらく接着芯というつくりで、ある程度スーツの基礎を覚え始めた今考えると、だいぶ割高だったなと感じます。
しかし、最近の百貨店スーツの広告などを見てみると、「あれ・・・けっこう安くない??」と思うことがしばしばありました。
そこから色々と調べてみると、実は今の百貨店も意外に安いんですよね。
考えてみれば、当たり前の話です。
業界として、安値でハイコスパのスーツが流行り、またオーダースーツのハードルもかなり下がっていて、今や1着2、3万円くらいでつくれるのがふつうになっています。そんな中で、百貨店だけ時代に取り残され、高値で商売をし続けていたら、顧客がつくはずはありません。
つまりは、百貨店の既成スーツも、オーダースーツも、周囲に合わせてお手頃価格になっているわけです。
高島屋のオーダースーツ
例えば、高島屋。
「タカシマヤスタイルオーダーサロン」と称し、新たなオーダースーツのラインを始めているのですが、ファッションディレクター干場義雅氏の監修も受けながら、お手頃価格でのオーダースーツを展開しています。
だいたい5万円~10万円程度までの幅で、しっかりしたつくりの国産ウール生地から、有名インポート生地まで、“百貨店クオリティ”で仕立てることができます。
↑干場氏とよくこういうプロモーション動画を出しています。
銀座松屋のオーダースーツ
それから、銀座松屋(牛丼屋ではありません)。
定期的に、「銀座の男」市などと称して、既成スーツやオーダースーツの安売りセールをしています。
私もちょこちょこ覗きにいくのですが、これ、たしかに安いです。
レダで5万弱、カノニコで6万弱、ロロ・ピアーナで7.5万、ドーメルで7.5万ですから、一般的な大手スーツ店の既成スーツとそれほど変わらないくらいの価格で仕立てられそうです。
また、カノニコのぬめっとした上質ウールのブレザーが3万円程度で置いてあったり、カシミヤ100%のコートが40%引きで7万円弱くらいで置いてあったりと既製品のラインナップも充実しています。
ちょうど他店で新たなオーダースーツを仕立てたばかりだったので、今回は自重しましたが、スーツからジャケット、ワイシャツ、革靴、そしてネクタイまで、正直目を見張るセールでした。次回も足を運ぶことは間違いなさそうです。
特にセール時は激熱
このように、どの百貨店も、お得にスーツがオーダーできる時代がとうに訪れているのです。まして上記の通り、セール時はかなりのコスパです。
しかし、世間のオーダースーツ店は、自社製品の安さをアピールするために、「百貨店」という仮想の敵をつくって、「そこよりも安い!」という売り方に走っているのですね。それほど安値でないお店にかぎって、他に安さをアピールする術がないからこそ、仮想の百貨店を引き合いに出すしかないわけです。
ですから、「百貨店だと○○円しますよ」という宣伝がされていたら、そのまま「安いんだ!」とうのみにしてはいけません。
むしろ、「そうやってアピールしないと安く見せられないのかな」と疑ってみるべきかもしれません。
そこで、同じ生地をネット検索して、他店でのオーダー価格を確かめるようにしましょう。
もちろん、仕立ての部分など、傍からは見えてこないクオリティもあるので、一概に「安いところでつくるべき」というわけではありませんが、おおよその相場くらいは見えてくるはずです。
ブランド名だけでなく、その生地の名前まで含めて調べるようにしてみると良いと思います。
結論
ということで、やはり結論としては、
・「百貨店なら○○円しますよ」という幻想の安値感には惑わされるな!そんなアピールしかできないお店にはむしろ注意しよう
ということを、改めて強くお伝えしておきたいと思います。
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