オーダースーツをつくるときの悩みどころの一つが、タック(プリーツ)を入れるかどうかという点でしょう。あるいは入れるにしても、「ワンタック」がいいのか、「ツータック」がいいのか、あるいは「アウトタック」か「インタック」か……。今回はそんな疑問にお答えしていきます。
タック(プリーツ)とは
「ワン」「ツー」、「イン」「アウト」
スーツにおけるタックとは、パンツのウエストから下のあたりにある折り目、ひだのようなもののことです。プリーツとも言われますね。
外側に織り込んでいるのがアウトタック、内側に織り込んでいるのがインタック、そしてそれが1本ならワンタック、2本ならツータックということです。
文字だけで説明しても伝わりづらいかと思いますので、実物はこんな感じ。外側に織り込んでいる「アウトタック」で、2本入っている「ツータック」です。
↓ツータック、アウトタックのパンツを履いてみるとこんな感じ。
↓ちなみにノータックはこんな感じ。
↓ノータックパンツを履いてみるとこんな感じ。
比べると違いがわかりやすいのではないでしょうか。ノータックは既製品でよく見かけますよね。
なおタックは無料で入れられることがほとんどですが、「アウトタック」は無料でできても、「インタック」は有料になるケースがけっこうあります。
機能面のメリット
タックが入っていると、まずは太もも周りやポケットに余裕が出るという機能面でのメリットがあります。
例えば、ポケットにスマホなどを入れて階段を昇るときを思い出してみてください。かなり生地に負担がかかっている感じがありませんか? 座っているときも、ノータックだとけっこう張った感じがあるでしょう。
「スーツってこういうもの」と思い込んでいた方も多いのではないかと思われますが、この部分に余裕が出るというのは、使ってみると意外に良かったりするものです。
外見上のメリット
こうした機能面のメリットがよく謳われますが、タックのメリットは決してそれだけではありません。タックが入ることで、パンツに味、雰囲気が出てくるというメリットもあります。よりクラシカルな印象をもたらすことができ、簡単にいうと、渋さが出てくる感じです。
そういわれてみると、冒頭の写真、ほどよい渋さが出ていると感じませんか? 特に、夏のジャケットを着ないワイシャツ姿のときは、パンツの全体が見えるようになりますから、よりこうしたパンツの味が映えてきます。
スーツをおしゃれに見せる知識や経験に乏しい我々初心者でも、簡単におしゃれな雰囲気を出すことができる仕様というわけです。
タックはダサいのか
初心者こそタックは入れるべき
最近はクラシック回帰の傾向もあり、少なくともオーダースーツ屋では、だいたいタック有りを勧められることが増えてきていますね。
これまでは、スリムフィットな流行があり、それに伴ってパンツもノータックですっきり見せるのが主流になっていました。
既製服も、量販店で売られているものは、ほとんどがノータックになっていると思います。オーダーをされたことのない方がお持ちのスーツは、ほとんどタックが入っていないパンツなのではないでしょうか。
だからこそ、タックが入っていることで、周りとのさりげない違いを見せることができますし、また知っている人が見たら、「あの人オーダースーツかな」と思わせることもできるわけです。
タックがあってもスリムに見える
タックが入っていると、「野暮ったい感じになるのではないか」「おじさんっぽくならないか」という懸念の声があがることもあるようですが、タックを入れて太もも周りに余裕ができたとしても、そこからテーパード(裾に向かって細くなっていく仕様)がかかっていれば、決して野暮ったく見えることはありません。むしろ足が細く見える効果もあり、スタイルが良く見えるようになります。
昨今は、だいたいのお店において、パンツにテーパードをかけるのはむしろ標準仕様ですから、店員さんに何も伝えずとも、テーパードをかけてきれいに見えるように作ってくれます。
もし心配なら「タックは入れたいけど、テーパードをかけてすっきり見えるようにしたい」と店員さんに伝えればOKです。
ですから、「スリムに見えなくなってしまうのではないか」などと気にする必要はないので、ぜひ積極的に取り入れてみたいところです。
結論
もちろん、これからつくるスーツすべてにタックを入れるべきとまでは言いません。手持ちのスーツには多様性があった方が良いと思います。
ただ、機能面のメリット、またそれ以上に「手っ取り早くおしゃれに見えるようになる」というメリットを考えると、我々初心者だからこそ、積極的に取り入れるべき仕様だと思うのです。
よくある「2着で5万円」などのセット価格で買う場合は、片方はノータックで、もう片方に1本か2本入れてみるというのも一つの手でしょう。
これからオーダーする際に参考にしてみてください。
※参考記事
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