「サイズ感」がぴったりのスーツをつくるための「オーダースーツ」なのに、意外にも失敗しやすい要素もまた「サイズ感」。
はじめてオーダースーツをつくるときは、店員さんからの聞きなれない言葉に一つ一つ返答するので精一杯になってしまって、なかなか自分の希望通りにもっていくのは難しいものです。
特によくあるのが、「せっかくオーダーしたのにだぼついた仕上がりになった」というケース。今回は、そんな失敗を防ぐために、一つだけ頭に入れておいてほしいとうことについて、お話ししていきたいと思います。
失敗が起こる理由
最後まで完成品は見られない
まず、オーダースーツであるにも関わらず、なぜこうしたサイズの失敗が起こりうるのか。それは、既成サイズから最も合うものを選び、裾の長さを微調整するくらいの「既製服」と違い、オーダーの場合は、仕上がるまで完成品が着られないというのが大きな理由でしょう。当たり前と言えば当たり前の話ですね。
基本的に、高価格な仕様であるフルオーダーでない限り、サンプルとなるゲージ服をもとに調整するわけですが、それでも既製服よりも調整する要素が格段に多いですから、なかなか完成品のイメージはわかないものです。特に生地感は、小さなブロックでしか確認ができない場合がほとんどですが、だからこそ完成品と出会ったときに感動は大きいものです。
店員さんの感覚の違い
とはいえ、一つ一つをしっかり測っているはずなのに、どうしてサイズの失敗が起こりうるのか、疑問に思われる方も多いのではないかと思います。その理由は、人間の体は単純な数字だけでは測れない複雑な形をしていて、それぞれのクセも全く異なる、というのもありますが、同じように大きな要素なのは、「採寸する店員さんの感覚が違うから」という点でしょう。
例えばよく失敗例としてあがるのが、世代がかなり上の方が採寸をされた場合、「スーツは余裕のあるサイズ感で着るもの」というイメージが強く、できあがったときにもったりしたサイズで仕上がってしまうケースです。
余裕のあるサイズ感とはいえ、結果的にほどよく仕上がればそれでもいいのですが、何せ完成品は出来上がらないと見えないわけですから、これで“事故る”ことがけっこうあるのです。“事故”まではいかずとも、どこかしらが長かったり、ゆるかったりというのはよくあるものです。
当然、多少のお直しはどこのお店でもできるでしょうが、大幅な調整はできないことの方が多いですし、また直し方によっては跡が残ってしまうケースもあります。「後から直せるから」と、気を抜くべきではないのです!
※参考記事
オーダースーツの作り直し・仕立て直しはどこまでできるのか
サイズの失敗を防ぐために
慣れないうちは…
最近はゆったり目な着こなしがトレンドになりつつありますが、それは要所要所のサイズがぴったりになっているからこそ成り立つかっこよさで、決して“だぼつき”とは違います。
慣れていない人こそ、やはりスリムな雰囲気で着こなす方が、シュッとしてかっこよく見える傾向にはあります。
誤解しないでいただきたいのは、リラックスした雰囲気やあえてのゆとりをもたせている形もかっこいいのですが、オーダースーツに慣れていないうちにこのようなスタイルに挑戦しようとすると、イメージと違うものができてしまうことも少なくないということです。
まずは細身でスタイリッシュに着こなせるサイズ感からトライしてみることをオススメします。
「細身な感じでお願いします」
となると、はじめての方が、細かいオプションなどに思いを巡らせる前にまず伝えておくべきなのが、
「少し細身(タイトめ)な感じでお願いします」
という言葉です。
これだけ一言言っておけば、ジャケットの丈もパンツの丈も少し短めに調整されるなどして、少なくともだぼっとした仕上がりにはならないはずです。
どんなお店でも、気の利いた店員さんならば、どんな感じで着たいか、色々な角度から探りを入れてくれるのですが、そうでもない限り、余計なことはあまり聞いてくれません。
かといって、はじめてにも関わらず色々と注文をつけるのはなかなか難しいもの。最初から色々と考えていくこと自体大変でしょう。
だからこそ、「とりあえず細身で」「スリムに見えるようにしたい」「どちらかというとタイトめに着たい」という一言だけは、しっかり携えていくようにしましょう。これだけで店員さんの意識が変わり、よくある“だぼつき事故”は防げるのです。
細身でつくる場合の注意点
ちなみに、タイトめに着るために気を付ける主なポイントとしては、ジャケット、パンツそれぞれの丈(少し短めに)と、ジャケットのウエスト幅(絞り)あたりでしょうか。
あとは意外に見落としがちなのが、パンツの「裾の幅」。今は、ほどよくすっきり見える18cmから18.5cm程度が主流かと思います(参考:SADA公式)が、場合によってはデフォルトが広めになっていることもあります。ここもすっきりめにしたい旨、できれば一言相談しておくと良いでしょう。
まとめ
オーダースーツにはたくさんのオプションがあり、意外にサイズは店員さんが測るのに身を任せるだけになりがちです。ただ、オーダースーツで(というよりスーツ全般で)一番気を付けるべきなのは、間違いなくサイズ感です。
どんなにオプションにこだわっていても、サイズ感がダメならすべてが台無しになりますし、逆もまた然りです。はじめて頼む際、「細身」の一言だけは、忘れずに持っていきましょう。
なお繰り返しになりますが、あくまでもはじめてオーダーするときのお話です。慣れてきたら、ぜひ色々な着こなしにチャレンジしてみてください。
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