就活などの面接時においてよく聞く「ジャケットのボタンを閉めるか閉めないか問題」ですが、体型やジャケットのサイズなどの関係で「そもそもボタンが閉まらない!」という方もいらっしゃるのではないかと思います。
今回はそんな方に向けて、そもそものボタンマナーの正解、ボタンが閉まらない場合の対処法、そして実際にボタンマナーなるものが面接でどれだけ重要なのか、ということについてお伝えしていきます。
面接でスーツのボタンが閉まらない時の対処法は?
まずは、そもそものルールから確認しておきましょう。
面接時のボタンルール(男性の場合)
男性の場合、ジャケットの種類やシチュエーションによってボタンマナーが変わってきます。
2つボタンの場合
シングルジャケットのボタンの数は、一般的には2つか3つが多いのですが、まずは「2つボタン」の場合から。
このタイプのジャケットの場合、上のボタンを閉め、下のボタンは開けたままというのが正しい着方です。これはマナーというより、スーツ自体が、すべてのボタンをとめるようなつくりになっていません。すべてのボタンをとめると、見た目が美しくないどころか、変な締め付けが発生して不格好になってしまいます。
一方、座るときにはボタンをすべて外すのが一般的とされています。これにより、座ったときの動作がスムーズになり、ジャケットがきれいに見えるだけでなく、リラックスした印象を与えることができます。スーツとは基本的に立ったときに美しく見えることを想定してつくられているので、座ったときにボタンを閉めていると、余計なシワがよるし、部分的に強いテンションがかかってしまいます。ですから、座ったときはボタンを開けるというのが一般的なマナーとされているわけです。
しかし、これは逆に言うと、「スーツを美しく見せるためのマナー」ともいえます。つまり、面接というオフィシャルな場にもこの“スーツ側の事情”を勝手に持ち込んでいいのかという問題があります。
面接官の間で、「座るときはボタンは開けるもの」という認識が完全に浸透している場合は問題はないでしょう。
しかし、仮に1割の面接官はこのマナーを知らなかった場合、「この人はなんでボタンを開けているんだ」という疑念を抱かせかねないリスクがあるとも考えられるのではないでしょうか。
逆に、座った状態でボタンを開けている受験者に対して、「座るときは閉めなくてもいいのに」と思われることはあっても、それを「マナー違反」だとしてマイナスの印象を抱くことはほとんどないといえるのではないでしょうか。
結局、ボタンを閉めた方がオフィシャルな場に適した印象を与え、一方でボタンを開けているとよりリラックスした印象を与えるものなので、座ったときも閉めたまま面接を受けるというのは、一つの無難な選択肢といえるのではないかと思います。
と色々述べましたが、私の場合は、まずはしっかりボタンは閉めた上で入場し、座るときにはボタンを開けて座る。立ち上がる際には再びボタンを閉めるということを繰り返すことで、「ちゃんとマナーをわかって開けてるんだよ」というのを伝えるようにしています(笑)。これが面倒な場合は、終始閉めておくのが良いのではないかと思います。
3つボタンのジャケットの場合
と、話が逸れましたが、ボタンが3つある場合の着方についても触れておきます。
まず、3つのボタンが全て見える状態で並んでいるジャケットの場合は、上の2つは閉めて、一番下のボタンだけ開けるのが正しい着方です。
これがいわゆる“段返りの3つボタン”というタイプのジャケットになると、3つあるうちの真ん中のボタンだけを閉めるというのが、正解になります。
↑一番上のボタンは裏返っていて見えない状態になっているタイプです。この場合は、一番上の見えないボタンは閉めず、真ん中のボタンだけ閉めます。
このルールは守れていないとおかしな印象を与えてしまうので、しっかり覚えておくようにしましょう。
その上で、座って面接を受ける場合は、「2つボタン」のところでお話しした通りです。
なお、ごくまれにダブルジャケットの装いで面接を受ける方もいらっしゃるようですが、基本的は避けておく方が無難とされています。
面接時のボタンルール(女性の場合)
続いて女性のボタンルールについて確認しておきましょう。
シングルジャケットの場合
女性の面接シーンでも、やはりシングルジャケットが鉄板とされています。しかし男性とは違い、いわゆる“アンボタンマナー”というものがありません。1つボタンから3つボタンまで種類はありますが、女性の場合はどのボタンも閉めるのが基本です。
さらにわかりやすいことに、座るときも女性はボタンを開けるということもありません。
つまり、普段の着用時も、面接時も、常に全て閉めるということだけ徹底しておけば問題ありません。わかりやすいですね。
ダブルジャケット・ノーカラージャケットの場合
男性の「ダブルジャケット」が面接にふさわしくないのと同じように、女性の場合も、ダブルジャケットやノーカラージャケットは避けるのが無難です。もちろん、これはどのような類の面接であるかにもよるので、必ずしも「絶対NG」と頭ごなしに申し上げるつもりはありませんが、オフィシャルなシーンでは避けておくことが無難ではあります。
※参考:マイナビエージェント https://mynavi-agent.jp/knowledge/womanwill/392.html
ボタンが閉まらないときはどうすべきか
上記のような基本ルールの上で、「そもそもボタンが閉まらないんだ!」という場合はどうすべきなのでしょうか。
適切なサイズのジャケットを選ぶ
まず第一に、ジャケットがボタンを閉められない原因として考えられるのは、サイズが合っていないことです(当たり前のことですが…)。面接の前には必ずジャケットのサイズを確認し、適切なサイズのものを用意しましょう。サイズの合っていないジャケットはだらしなく、不格好なので、ボタンの開け閉め以前に一般社会においてNGです。
面接用のオーダースーツまでは必要ないと思いますが、肩幅が合っているか、袖の長さが適切か、ウエスト部分がきつくないかは、しっかり確認しておくようにしましょう。
ジャケットの修理を検討する
ボタンが閉まらない原因がジャケットのサイズではなく、ボタンの位置や糸の緩みなどにある場合は、修理を検討するのも有効です。
修理を依頼する際は、仕立て屋やクリーニング店でもやってもらえると思いますが、基本的にはそのスーツを購入したお店に持っていくのが確実ではあります。特にオーダースーツ店の場合は、お店がそのまま修理してくれることもけっこうあります。
いずれにせよ、時間には十分余裕をもって修理に出すようにしましょう。1週間くらいは見ておきたいところです。
面接直前に気づいたら
面接直前に「ボタンが閉まらない」という緊急事態が発生した場合……これはもうボタンは開けたまま着用するしかありません(笑)。やはり入場シーンなど立っているときまでボタン全開なのは、一般的なマナーを知らないと思われても仕方がないと思われかねませんから、面接前にはじっかり準備しておきたいところですね。
ボタンが閉まらないことはそんなに悪い事なのか
とはいえ、ボタンが閉まらないことは、そもそもそんなに悪い事なのか……ということについても触れておきましょう。
面接における“マナー”は本質的なことではない
もちろん、面接におけるマナーとは、一つの重要な要素であることはたしかでしょう。
しかし、決してそれが本質ではないと思うのです。
面接とは本来、その人の上辺の部分ではなく、その人のコアな部分を見るためのものでしょう。まして服装や着こなし方なんて、入社してもらってからでもいくらでも矯正が効くはずです。
たしかにこれが、ド派手な格好で面接に現れ、「客先でもこのポリシーを変えるつもりはない!」なんて話をするようでは、さすがに面接官側も採用する気にはなれないでしょう。しかし、たかがサイズが合ってないないジャケットを着ていたり、あるいはかなり太っていたりしたことで、見るからにジャケットのボタンが閉められないのが明らかなような場合は、面接官側もその事情は何となく察するわけですし、別に失礼な態度とまでは言えませんから、そんなところだけで「さすがにこいつは不採用だ」とはならないのではないでしょうか。
結局は、その面接に真摯に向き合う気持ちの問題です。
その意味では、ジャケットはしっかり自分に合ったサイズで、ボタンも閉めるべきところでは閉める方が気持ちは伝わるのですが、サイズの問題で閉まらないといっても、そこまで大きな問題ではないはずです。
もしボタンが閉まらずに面接に落ちることがあっても、きっとそれは別の要因があってこそのことだと思います。
結論
ということで、本稿をまとめると、
・ジャケットの種類ごとに、ボタンの閉め方のルールは異なる
・面接では体に合ったジャケットを着ることは大前提
・しかし、面接時に「ボタンが閉まらない!」という事態に陥っても、それは本質的なマイナスにはならない
ということになるでしょうか。皆様の参考になれば幸いです。
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