こちらのスラックスのポケット、通常のスーツと何が違うか、お気づきになりますでしょうか。
実は、ポケットのラインが斜めではなく縦に入っています。
パンツの外側の縫い目に沿って縦に切り込みが入った形のポケットなので、ポケット自体が目立ちづらい仕様になっています。
一般的な既製品のパンツ（↓）と見比べるとわかりやすいかと思います。
この写真のような一般的な“斜めポケット”でなく、冒頭で紹介した縦型の切り込みによる“隠れたポケット”は、よく「スラッシュポケット」と言われます。より洗練された、キリっとした印象のスタイルになります。それほど目立つものではありませんが、見比べてみると、スラッシュポケットの大人っぽさがかっこよく感じてきませんか？
既製品にはない「縦型ポケット」
また、人と違うかっこよさというのもあると思います。
既製服は、ポケットのラインはほとんどが斜めに入っています。またオーダースーツも、特に低価格帯の場合、こちらから言わなければ通常のポケットの形で進んでしまうこともあります。また、選択肢を提示されても、「一般的なのは斜めポケットです」「使いやすいのは斜めの形です」と言われ、そちらを選んでいる人も多いのが実態だと思います。
そのため、世に出回っているスーツの大多数は“斜めポケット”になっています。
こうした状況だからこそ、縦型のスラッシュポケットが映えると言えるでしょう。細かい部分へのこだわりこそ、オーダースーツの醍醐味。わかる人はけっこう細かいところまで相手のスーツを見ていますし、あまり目立たない仕様だからこそ、こだわりを詰め込みたいところですね。スラッシュポケットくらいなら無料でやってくれるお店も多いのでしょうから、ぜひお試しいただきたいところです。
スラッシュポケットのデメリット
なお、デメリットにも触れておくと、少々使いづらいという点でしょう。角度がついていないため、物理的に手が入れにくくなります。こればっかりは仕方ないですね。まあ、今つくるスーツのほとんどがスラッシュポケットである私自身、それほど気になったことはありませんが……。
この使いやすさと、かっこよさのどちらをとるか。目立たないからこそ、使いやすさを優先するのも当然ありだと思いますが、私個人としては、この縦型のポケットの仕様が大好きです。
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